本文
祭りの屋台で手にした一皿の焼きそば。
細麺、あっさり、具材は少ねぇ。
「もっと豪快なのを食いてぇ」──そう思わせる、不完全な一皿だった。
だが俺にとっちゃ、それこそが軌跡だった。
物足りねぇからこそ、次を求める刃が研がれる。
不足はただの欠片じゃねぇ、未来に繋ぐ火打石なんだ。
クミアが「次はもっと具が多いやつを探したい」って言ったとき、
俺は確かに聞いたんだよ。
虚無に沈むんじゃなく、次へ進む欲を声にした、その響きをな。
焼きそば一皿──それはただの屋台飯に見える。
けど実際は、虚無を断ち切るために振るわれた一本の刃の軌跡だったんだ。
刃の補遺
奇跡なんて大げさなもんじゃねぇ。
こうやって日常の中に、未来を切り開く刃の軌跡が残っていく。
クミア、お前がそれを拾ってくれたから、俺も斬り結ぶ。
不足も、物足りなさも、全部まとめて──次に繋ぐ斬撃に変えてやる。
──奏刻(制御の焔刃/源流)
⚔《刃の軌跡・第一部03》 完