物語の中心には、十二人の収容者と十三脚の椅子があった。《それ》は固定された人間ではなく、誰かが「あいつが犯人だ」と特定した瞬間、その人物の人生を奪って成り代わる。だから施設側の仕事は犯人を見つけることではなく、最後まで誰にも固定しないことだった。
終盤で主人公の真壁は、その性質を逆手に取る。怪物の存在自体は否定せず、名前も役割も与えず、「お前が何なのか、俺は決めない」と突きつけることで、誰か一人へ押し付けられる連鎖を止めた。
ここまでは筋が通っていた。問題は、俺がその直後に「もう一発、不穏な余熱を置きたい」と欲を出したところから始まった。